昆虫食民族の野球

昆虫食民族は飛んできたものをとらえる

リード以外からむーちょ復帰後を考えた話

幸せな当惑と理由探し

 

 

引っ越し会社のCMに、怪獣並みにでかくなった赤井英和が「なんでやろなあ」とつぶやいたら「まじめにやってきたからよ~」と能天気な返事が返ってくる、というのがありまして。

 

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スワローズもいつの間にかでっかいチームになりました。なんでやろなあ。

6/18時点で64試合消化して42勝21敗1分の貯金21。勝率は.667*1ですから、荒っぽくいえば開幕から二勝一敗をずーっとやってきたのと同じわけです。

得点261はリーグ1位で失点203は阪神の次点。差し引き得失点差+58はホークスに次いで12球団2番目の好成績です。聞くところによると指標も全体的にいいらしい*2

 

じゃ実際それだけ安定感のある王道野球のチームなのかと言われると、またちょっと違った言い方になると思うんですね。そもそもからして開幕ふたカードが三連勝と三連敗だし。

派手な逆転劇のあとはピッチャーが粘って三連勝。そして神宮に帰ってきて、巨人のミスのない守備と一発攻勢に力負けして三連敗。4月に入っても「3点取られたら全部負け」を異様なビジター勝率で帳尻して5割キープ。打つ打たないの差はあれど、「ハマれば強いがどうにも脆い」という傾向は親の顔より見たスワローズ。

 

わかりやすいターニングポイントは5月頭の甲子園でむーちょが帰ってきて、ライアンとバッテリー組んで完封勝ちしたところですかね*3。このあと三連勝と一勝二敗を挟んで10カード連続で勝ち越し、この期間だけで貯金18がもたらされました。あれ以来、なんかわかんないけど点が入るしなんかわかんないけどピッチャーも粘れるという不思議な好循環が続いています。

むーちょ本人も巧みな打撃で3割前後をマークし、代打でも最終盤に貴重な働き。攻守でチームを支えています。ありきたりなこじつけですが、むーちょ復帰後の躍進というのは今年のスワローズを象徴するものなんじゃないかと。こうした百戦錬磨の選手のプレーは、なんというか勢いに確実性を加えると思うんですよね。

 

本質に立ち返れば山田・村上の長打や塩見のスーパープレー、お家芸の集中打でさえ毎回の成功が約束されているわけではありません。新顔の多かった昨年の打線にも2・6番には出塁能力があって何でもできる青木・中村がいて、待球や進塁打でチャンスメークをこなしつつ、要所では伏兵的にポイントゲッターの役割を果たしていました。

まして今年はレギュラーへ近い位置に若い選手が多くいるわけで。交流戦で坂口が呼ばれたり、ヒットの出ない時期もあった青木や川端、宮本がベンチにいるのは、バットに当てたりカウントを作る技術に間違いがなくて、若手や中軸の爆発に頼らなくてもいい形を持っておけるという意味があるんじゃないでしょうかね*4

 

真中さんは「戦力が整っている(チーム力がある)」と(わりに実も蓋もなく)評した*5そうですけど、このフレーズには村上・山田・塩見が縦方向に貢献を積み上げるだけでなく、若手からベテランまでそれぞれが一芸と役割を持っていて、束になってかかっていくチームというイメージが含まれているように思います。

 

まあそうはいってもリリーフ勝負なので綱渡りのように緊迫したゲームの連続に思えるんですけど、案外いまのスワローズはやってる役者がサーカスのスペシャリストなのかもしれませんね。

 

 

*1:試合中に書いてる

*2:UZRがよくてWAR上位に塩見村上山田がいるとか

*3:神宮が雨で流れてこれが5月最初の試合だったので、5月以降の成績というのはむーちょ復帰後の成績とぴったり重ねることができます。実にわかりやすい。

*4:これはギャンブル気味の継投を成立させる保険としての田口にもいえる

*5:

sportiva.shueisha.co.jp