昆虫食民族の野球

昆虫食民族は飛んできたものをとらえる

実況は9回表の村上の守備にもっと触れるべきだろって話

ヤ6-7神

長岡をみていて思うこと

 

田口と実況が良くないです(直球)。試合の振り返りはそれだけ。

ケガ人の多さとかスコアのわりに開幕からやたら劇的で満足度かなり高いです。ホームランは今日出たので、いま不満は守備走塁の細かいミスが目に付くことと村上のホームランが見れてないことくらい*1。まあ村上はなんだかんだ格の違い見せてる*2し、交流戦までなんとか5割でことが運べば秋口もっと面白いんじゃないかと。まあそれ半分は負けるってことでしょうけど。

 

この満足感の源泉はひとえにヤングスワローズ、“高津さんの教え子”の頑張りです。開幕戦をものにした武岡、並木の走塁や、軽快になった村上の守備。赤羽はバントや盗塁で必死に一軍へしがみつき、吉村さんに小澤、奎二の三人はエース不在といわれ続けた先発ですばらしい投球を披露しました。まあ試合を完全に決めるほどにはうまくいかないことも多いので、まだ活躍というより頑張りですかね。でも物事がちゃんと積みあがってるというか、壁にぶち当たった部分を克服し、力いっぱい上のステップへよじ登ろうとする(ように映る)頑張りがある。それを象徴する選手は長岡だと思います。

 

開幕二戦めの三回裏、先頭むーちょがヒット打って無死一塁で迎えた涌井-木下バッテリーとの第一打席に「おっ」というシーンがありました。

https://baseball.yahoo.co.jp/npb/game/2021020006/score?index=0320200

なんてことはないレフト前に見えて、これはすごく価値のあるヒットです。後ろがピッチャーの吉村さんなので、普通ならこの場面はヒッティングで右狙い、あわよくばライト前で一、三塁のはず。しかも長岡は一軍に上がってきて以来引っ張りで数字稼いできた左バッターです*3。そういう局面だから涌井、木下バッテリーは真っ直ぐとシンカーで外攻めてセカンドゴロを狙ったんだと思うんですけど、長岡はその外角シンカーをレフト前ヒットにして一、二塁を作ることに成功した。点には繋がらなかったとはいえ、高卒20年目と大卒社会人9年目という百戦錬磨のバッテリーを22歳の八番打者が攻略したシーンです。

マツダでも初戦の床田からはヒット出ませんでしたけど、これまた大瀬良-會澤バッテリーからクリーンヒット打ったり*4、チャンスで塹江の速球をコンパクトにセンターへ打ち返したりと、今の長岡はオープン戦がなんだったんだってくらい打席に内容があります。で、そのマツダでエラーやった翌日に六番で出て3出塁のホームラン含む2安打、しかも2安打めはホームラン*5打った後ビハインドの先頭で、150キロ越えてくるゲラの真っ直ぐをとらえたライト前ヒット*6。まあ長岡が逆方向打ってるのが気まぐれだったら正直この文章は無意味なんですけど、今日見る限りそうではなくて、どうやら相手や状況をみながら駆け引きしつつも、自分の持ち味=強いスイングが活きる場面ではしっかり振れているらしい*7。がむしゃらに結果を出した22年、苦しんだ23年を経て文句なしのレギュラーへ脱皮しつつあると言っていいんじゃないでしょうか。

 

マツダでは塩見の長打で帰ってこられなかった岩田が今日は初安打に初盗塁。火消しでなかなか結果の出なかった山本さんは好救援で和尚を救いました。長岡の成長や武岡の懸命さを見ていると、星や大西*8も最後のバッターになった丸山も、悔しい経験を次の糧にしてくれるだろうと鷹揚でいられる部分があります。もちろん濱田内山が復帰した時のプレーも一段と楽しみ。

今更ながらやり返せというメッセージの面白さに気づいたところです。負けた翌年のスローガンという文脈以外にも、負ける度失敗する度にこの言葉がバネになる部分があるんでしょうかね。レジリエンス(byサンタナ)というか。

 

だからといって今年が次の優勝のための単なる成長痛にはなってほしくないし、簡単にはならないと思うんですよね、この言葉決めたの監督ですし。

 

 

*1:田淵アナは勝ってたら気にならないけど負けたので不満要素です

*2:早いとこ内角ホームランにして逆方向解禁してほしいけど、ライマルとの勝負とかもうメジャーでいいでしょ

*3:nf3とデータで楽しむしか見てないけど特に逆方向に強みはなかった

*4:裏かかれたような外見逃しから外攻められたあと、結局カットボールをライトへはじき返した

*5:風が強かった

*6:変化球もきっちり見送れていたし、あの場面でただ振るだけじゃなかったのかなと

*7:この記事は本当だった

www.daily.co.jp

*8:歓声どうこうも慣れるとは思う

ネット環境なしでいいから今年の神宮に巣を作りたい鳥

そういえば今の神宮球場で観られるのも残り数年ですかね

 

 

まー順位予想の記事とかね、気が向いたときに書いてたんですけどね。戦力的には巨人阪神が頭一つ抜けていて、でも各球団の出入りと成長株を照らし合わせると意外に差がなくなってる気もする、こりゃ開幕でどこが抜け出ても不思議じゃないね、しかも中田獲ってきた中日と開幕カード神宮、これは特にカギになるかもしれないぞ…みたいなのを。

ただまあそういうの吹っ飛びますわな、困惑しました。キャンプ前まで引っ張って「やり返せ」ときたか、と。正直ウチのことも他所とのこともいろいろよぎるし、でもよぎるところまで計算に入れてないとこれは出てこないようにも思うし、むしろどこまでよぎっていいんですかって聞いてみたいくらいなんですよね。

 

まあ「推し」という概念が持ち込まれたり、ボールパークという仕組みが広がったりで、なにかアイドルと観客の世界のように扱われていますけれども、プロ野球って勝ち負けも優劣もある勝負の世界です。神宮球場やスワローズというのはエンタメサービスとしてみるとなかなか広く浅く人気が出るようには出来てないですけど、こと野球そのものには間違いなく他のチームに負けないくらい考えて考えて考えて力入れてるチームです。そういうチームだからあれはブランドのキャッチコピーとかじゃなく、いったん野球チームの今年のスローガンという文脈で読まないといけない。鵜呑みにするなら高津監督が決めたそうだし。

 

じゃどんな文脈なんだ、と。ひとつには間違いなく昨年に対する悔しさの表れ、そしてそれをバネにするんだというメッセージです。

 2024チームスローガン発表!東京ヤクルトスワローズ - YouTube

昔の本は読めてないんですけど、高津“監督”として出した本には確か二冊ともプロ野球選手は負けず嫌いじゃないといけない、とかハングリーじゃないといけない*1という内容がある。まして2004年に初めて高津さんが出した本のタイトルは「ナンバー2の男」という、これまた反骨心が伺えるタイトルです。そういう人が発する「悔しさを晴らせ」というメッセージは選手へのものというより、むしろ全くの本心だとしても何らおかしくない。

それを受け取る選手にしたって、おととしは二年続けて11月に野球をしていた面々です。それが秋どころか夏場を前にシーズンが殆ど終わってしまって、不本意な成績に終始した、壁にぶつかった、あるいは戦う場にすらいなかった。やり返せって言われてる彼らには、すでに一度やられているんだぞ、という事実が再び突き付けられている。村上山田塩見に高橋中村だけじゃなく、若手もベテランもリリーフも先発も戸田にいた連中もスワローズがみんなまとめてお前ら悔しかったら勝ってみろって言われてる。そこに燃えてくるものがなければ——指揮官の言葉を借りれば——プロ野球選手じゃないぞと。そういうメンタル的にもう一回奮い立たせる部分を思えばこれはキチンとスローガンなんだと思いますね。まして不世出の大打者が渡米するまであと2年ですから、これ以上ない力の入れ時でしょう。

 

 

ただねえ、プロ野球チームのスローガンって横断幕にしてホムペにのっけてそんでおしまいとかじゃなくて、広く公表するもんだから、これで手羽止めるわけにもちょっといかないと思うんですよね。よぎる部分にも触れないといけない。

危うい。危ういんですよこのメッセージ、鳥だからちょっとずれてるかもわかんないんですけど、やり返せってのはやられた相手がいて、これからやっつけないといけない相手がいる場合の言葉ですよね。そしてその戦いの存在をびしっと明示する。一見りりしいアイドルのようなプロ野球選手が、その実野武士のようにたくみに、狡猾に、相手チームをやっつけるべく野球やっているんだよ、ということを改めて示すんです。自分たちと(倒すべき)相手チームがあるという構図によって、両者の輪郭が境界線となって浮かびあがる。

だからこれ、はっきり言ってチームの旗印という部分を濃い目に含むはずなんで、他ファンがうっ、となるのもそりゃ当然だよなと思います。だからっつってファン同士喧嘩しろって言うてるわけじゃないんですけど、仮に高津さんに親近感のようなもの持ってるほうが逆に敵将としての要素を意識させられるというか。鳥の困惑はそういうものがばしっと球場の外で出されたことあったっけ、というのがひとつです。なんとなく「絶対大丈夫」以来の確信犯的ギャンブラー要素だったり、あるいはまた何か監督だけが知っている新たな形なのかという予感もあったりはするんですが。

 

 

まあでも、これは来年ではなく今年出てきたわけで、やっぱり今が「悔しかったら勝ってみろ」を言い聞かせるには最高のタイミングなんだろうと思います。結局セ5球団、いやパ6球団、11球団どこ見たって舐めてかかれるとこないぞ、自分たちが力つけるんだぞって。

 

野村ヤクルトは様々なものを背負った長嶋巨人と競い、そこに引導を渡したのがマシンガン打線の横浜でした。2011年には歴戦に歴戦を重ねた古強者の落合中日が立ちふさがり、2015年のあとにはあきれるほどに強かった三連覇広島がやってきた。そして昨年とうとう阪神が二度目の日本一になった。あるいは阪神がこれから黄金時代を築くとしても、同じ時代にある以上簡単に負けていられない。悔しかったら勝ってみろと言われ続けてそれでもついに勝った強いチームを向こうに回して戦って、こんどのスワローズはどんな風に変化するんでしょうかね。神宮に巣作ってひたすらそれだけを眺められないかなあ(鳥)

 

 

*1:これに付随してマイナーリーグと比較して、あんまり二軍が快適だとおかしいんじゃないかみたいなことも書いてたほど

オフなので来年の話

言うだけタダの精神で来年のキーマン予想

 

投手は奥川、高橋奎二とロングリリーフ
野手はキャプテンとむーちょ(のコンディション)

 

 

まず投手。鳥の現状のイメージはこんな感じ。
スーパーエース不在、健康なら候補自体はたくさんいる先発陣
リリーフは逆に問答無用で1イニングや1アウトを信用して任せきれる存在が少ない


本拠地の特性もあってか、統一球*1導入以降イニングと内容を両立できるスーパーエースがそうそう現れないので、1イニングをシャットアウトできる(状態の)リリーバーを揃えて終盤の鍔迫り合いを制する方針は理にかなっているハズ。

とはいえ、今季序盤は先発が足りずに開幕から後ろに負担がかかり、4月下旬から5月、6月上旬にかけては息切れしてる中継ぎを先発がカバーできず故障や不調で両者共倒れ…という具合に悪いところがいっぺんに出たようにも。後半戦は故障者の復帰や複数投手の台頭があって先発は比較的ゆとりを持って起用できた反面、勝ち継投は清水がめげてしまって3枚ぴしゃりという状況が……あったっけ?*2

 

開幕直後や交流戦明け、AS明けの休みがあった7・8月をみるにコンディションが良好ならかなり戦えるのは分かるのだけれど、そうでは無い時の踏ん張りが結局鍵になる。ライアンやサイス兄さん、あるいはリリーフに負担をかけて…という形ではなく、なんとか一人でイニングを多めに消化できる先発投手が欲しい*3

ということで、まず奥川高橋がそれぞれ21年、22年の水準にどれだけ持ってこれるかだと思う。もちろんそれ以外のピッチャーが成長すればその限りじゃないけど、エースピッチャーを作ろうとしてるのはよくわかるし、そういう存在がいてこそチームの様々を健全な方向へ持ってけると思う*4。まあライアンや兄さんやカツオさんが踏ん張ってるうちに、この2人やロドリゲスが時々8回前後を投げるような状況ができれば21年のように高津さんの運用が活きてくるんじゃないかなあ。

 

 

とはいえ高橋奎二*5沢村賞奥川サイヤングとかはだいぶバラ色なので、現実的なところでいくと先発が5回前後で降りた時でもイニングまたぎのできるロングリリーフが開幕からあと一枚か二枚ほしい。これも一人でイニングを複数消化できる投手*6

今野や和尚などコンディションに左右される投手が居たのもあるだろうけど、高津運用のポイントの一つはJFKほど絶対的な投手を3枚作りきれなくてもコンディションのいい投手+火消しで先発とセットアッパーの間を回しきれた点だ。


準セットアップ級の枚数が一定数揃えば丁寧に回すだけで登板間隔の管理と好結果の相乗効果が生じるし、先発や勝ちパターンの負担も軽減される。ヤバいと思ったら火消しをぶち込んで鎮火すればいい。しかし最低限の頭数が揃わないと今年のように一人当たりの出動機会が多すぎて破綻するので、足りないなら足りないなりに、去年のAJコールのような1.1回以上を投げられる投手が欲しい。

丸山や高梨がこの役割を通年こなせるなら後ろは相当楽になると思うけど、無理っぽいなら先発できたらめっけもんでコール型の先中タイプを探してくればいい。なのでピーターズの代わりに来る助っ人はこういう役回りもあるんじゃないかと予想している。もっとも、100イニングいける先発とかセットアッパー連れてこれるならそれに越したことないけどね。
ひょっとすっと松本・石原もどっちかがこういう役回りからスタートしたりするのかな、吉井監督の「Bチーム」みたいな。

 

あと、制球<球威タイプの木澤や星が勝ち継投を担当してるけど、塁が詰まった状態で回途中から行くピッチャーはこの2人とは別の人に任せてほしい気持ちが強い。火消しの条件は田口みたいに投げミスがないことか、オリの宇田川のようにそれだけ投げてりゃいい、みたいな理不尽ボール(これは難しいとおもう)があることだ*7

21年にしたって火消しは球威で押し切れる近藤のあと、梅野や今野あたりを経ての田口だったわけで、そのとき好調だったり昨年の久保のように制球力があれば最低限資格はある。先ほど挙げた二名については何をかいわんや。なので候補になりうる一定以上の制球力と球威を備えている投手、具体的に大西や和尚とかは「試合が成立するレベルで投げて欲しい時の要員」に持っていく事態にならなければいいなあと個人的に思っていたり。まあ、今年は今年の意味合いもあっただろうけど。

 

 

ついで野手。まあ正直塩見村上は普通ならそれなりにやると思うし、オスタナコンビも同様で、長岡もわりかし大丈夫そうな雰囲気だし武岡と競ってくれるだろう(楽観)。レフトは競争のポジションだしなあ…ってなわけでセンターラインの二塁・捕手以外はそんなにでかい心配はいらないんじゃないかな(大楽観)。だから余計に山田哲人中村悠平という代わりの効かない二人が普通にやってくれるか、という心配がつきない。

この両名は戦略兵器もいいとこだと思う。かたやチームの心臓、かたや世界一のキャッチャーである。いないとチームが詰む人と、いると他チームが詰む選手。一方でそういう職人技、個人技の極地のような戦略兵器に頼っておととし昨年あのゲーム差で優勝したわけだしなあ。まあそういうところが好きなんだけど。


WBCのない来季両名がどれくらい「普通に」やってくれるかは楽しみだし心配でたまらない。特にキャプテンはコンディションやプレースタイルという難題に取り組むわけだけど、キャプテンならやってくれると信じられる。ヤングスワローズのやぶれかぶれな蛮勇もエネルギッシュで良さがあるが、中堅やベテランの生え抜きレギュラーには「できる・やってきた」からこその重みがあるのだ。

只々圧倒されるような村上のホームランに対してここしかないところでその通り相手投手を打ちぬくキャプテンの殊勲打、あるいはファインプレー。溌剌とした古賀や内山とは打って変わって整然と進行するむーちょのマスクと打席。それらをまた一年間見れたら秋ごろ無茶苦茶酒が旨くなってるとおもう。でまあ、そのへんは長年の懸案である二番打者にも言えることだけど、三番山田・四番村上の並びがまともに成立するならおのずと出来上がると思うので結局キャプテンにかかっているかな~と。  以上おわり。


追記:山崎福也はファイターズらしい。となると助っ人は先発寄りになったりもするんだろうか。

それにしてもフラグだなあこれ

 

*1:基準を満たす

*2:みたりみてなかったりしたせい

*3:山崎福也があるいはもし仮に万が一何かの間違いで来てくれたら中6で回せる=その分合計イニングの多いピッチャーが増えることになるのでなまらえらいパネェでらめっちゃぶちうれしい

*4:だめだったら来年に限っては2022年ルートでゆとりローテで中継ぎ頑張れな気がする

*5:翔聖くんが入ってきたので今後この表記になんのかなあ

*6:個人的には小澤がここに回れたら相当強いと思うが、流石にないので大西や和尚をカバーできる投手、としたい。理由は後述

*7:山本さんは変則&動くボールって点でこれを満たす可能性はある・あったと思う

最近のパワプロの話

おやつ

 

 

最近まーたパワプロ杯の時間が長くなってます。で腕前もメキメキ上がってきてて(憤怒)。

これまではねえ、ランク上がると格下と当たった時にストレートがまともに来なくて勝手に打撃崩しちゃってたんですよ、村上が大城とかにやられてたようなやつ。引っ張ってホームラン狙うのはいいんだけど狙いすぎて入りでかわされるとそのまま後手踏んで捕まえられなくなるっていう。

それでまあ格下狩りを意識して甘い球仕留めるように戦い方変えたら上位と当たった時に何もできなくなる現象に悩まされていたんですけど、東京ドームで社会人野球の都市対抗みたおかげで上位にも下位にもある程度やれる方法がなんとなくわかってきました。何かっていうとスクイズです(直球)

 

 

いやほら、野球の得点って基本イニングと点差と取りやすさに応じた(比例・反比例した)重みづけできると思うんですけど、一発勝負になると結局点そのものが中性子星くらい重くなるじゃないですか*1。例えば神宮のナイターなら残塁続きで贔屓が負けててもどっかでホームラン出るやろ(ハイボールグビー)くらいなもんですけど、高校野球で強豪がチャンス潰して僅差のビハインドで終盤に行ったときなんかは「本当にこのまま勝てんのか/終わんのか…?」っていう変な緊張感がある。なんというか取れる時をちゃんと取った時にしておかないと楽にならないんですよね。で、プレッシャーで変なミスが出た方が負けるみたいな。

 

翻って社会人野球はスクイズを徹底することでそれを部分的に克服してる印象があります。

今年の都市対抗パナソニックがマルチスクイズ決めたやつとか*2youtubeで見れる野村シダックスを沈めた代打の代打で決勝スクイズ*3とか。もちろん駆け引きはあるわけですけど、そこさえどうにかなれば色々な力量を無視して即死攻撃を仕掛けられるところがスクイズのメリットだと思うんですね。社会人に限らず高校野球でも智辯学園タイブレークからバント二本で勝ったり、U-18がスクイズで決勝を勝ったり、強いチームが隙をなくす文脈のなかにスクイズが位置付けられているという方が正しいかもしれない。パワプロだと引き分けでもレート下がるし、格上とやるのに一点では足らんし。

 

まあ別に走者三塁になったら全部狙えっていうのはそれは(任意の監督)になっちゃうんであれなんですけど、ホームランや強打を補完するものとしてパワプロスクイズって結構優秀やなーと思うんですよね。走者三塁を作ればいいと思うと引っ張りにこだわらなくてもいいし、「ホームランの打ち損じ」でも一点が入る可能性を十分に持たせられる。そもそもスクイズはお膳立て整えて精々1点なのに対してホームランはどっからでも出る可能性があって1から4点入れられるわけですから。小技みせておいて走者置いての一発で仕留めたり、長打みせておいて小技で欲しい時にもぎ取るみたいな感じですかね、書いてて気づいたけどここ去年までのヤクルト打線っぽいな。打って打ってで売り出し中のヤンスワの中からもいずれ荒木さんのような仕事人の台頭に期待したい(ヤクルトファン要素)。

 

あとねえ、何がいいってこれ走者なしからとにかく外野前進野郎*4にめっぽう強い。センター返しでも外野の頭は越えやすいし、長打なしでも何かで先頭出せば盗塁バントスクイズの嵌め技でたちまち決勝点が取れる。やっぱり外野全身野郎はこの消え

 

 

 

*1:特にパワプロのオンライン対戦は5イニング制が相場なので余計に

*2:https://mainichi.jp/ama-baseball/kurojishi2023/games/g0801

*3:

youtu.be

*4:走者なしから常に外野前進 馬鹿 屑 アホ 人間のゴミ 今すぐマンフレッドに規制されるべき存在 春先のアスレチックス 酢豚のパイナップル 期間限定で出てくるフルーツ風味チョコレート 特にシャインマスカット味のチョコパイ たけのこ派

パワプロにみる「できること」と「発揮すること」の話

野球はわりとメンタルだ

 

 

 

最近ヤクルトの試合がある時たいていパワプロのオンライン対戦をしてます。いや正確に言うと、これまでだら~っと1試合見てたところを、スマホの速報画面を横に置いてパワプロやって、合間合間に動きがあったら中継を見る、みたいな感じ。それで「今日はあかんやろなあ」って展開の時はすぐパワプロです。

 

 

おかげでねえ、最近メキメキと腕が上がりまして

 

 

最初の方はアナログ操作にキレたり*1、PR50くらいのやつに先制されたらすぐあきらめたり、外野前進して高め甘めの直球投げるやつにキレてたりしたんですが*2、山田で真っ直ぐをホームランする練習してたらコツがつかめてきてPR55までこれました。うれしい。最近では配球の読みを当ててホームランしたり、逆に9回2死から確信弾で追いつかれたりしています。これがたのしい。

 

あ、もしパワプロ買いたてでロックオンなしの操作に困ってたり、打撃ムズすぎて買う気ないわって方がもしいたら、とりあえずチームで二番目くらいの強打者使って直球をバックスクリーンへ放り込むように練習するといいっすよ。これやるとそのうち直球さばきつつ甘い変化球を待てるようになりますから。そしてカーブに不意を突かれてポップフライを上げるようになる

 

でまあ、対戦ひたすらやってるうちにわかったんですけど、PR50ちょいくらいのプレイヤーはこれ!と決めた球をひたすら待ってます。たいていは内角のストレートなので、サイスニードの低めスプリットがまあ刺さる刺さる。要するに一番早いタイミングで初球からなんでも振るから、それ以外にからっきし合わないんですよ。で、勝手に自分から追いつめられて、変化球や厳しいボールを見極めきれずに凡退。この鳥の場合も4月ごろはスワローズがまだ5割でやれていたので、ひたすら内角高めの速球を待ってはクサいところをミスショットしていました。もちろん調子に乗って真っ直ぐ続けたりするとあっという間に塁が詰まりますが、それでもミスなく集中力が続けば大けがもしないんで、野球というよかマインスイーパですね。

 

で、どうやら55あたりでまた一つ壁があるらしくて、待ちが色々変わったりします。例えば全力ストレート*3が来たらコース関係なくぶち込んできたり、逆に全ストを捨てて幅広く待って、速い球はセンターから逆方向に飛ばしてきたり。コースで張ってそこへ来たらとりあえず野手の間には飛ぶってやつもいたりしますね。最近スワローズの試合が放送されてないことも手伝ってワイはこのあたりまでこれましたが、こうなると駆け引きが始まります。要するに相手を想像しながらパワプロをやるわけですよ。

 

例えば初回塩見山崎と内角を打って凡退した後、山田を一塁に置いて村上の場面に、変化球が二球続けて外れた後のカウント取りに来る外角直球を宮城球場*4の左中間スタンド芝生あたりまで飛ばす先制弾にしたり。

あるいは近本で内角真っ直ぐをバシーン!とさばいてきたやつに外中心の攻めで内野ゴロ打たせてきたのが、1-0の5回裏にもうええやろってことで吉村さんでインハイちょっと甘い速球投げたら代打ミエセスに甲子園の上段へ持っていかれたり。

 

…まあともかく言いたいことはですね、例えばこの2本のホームランは①直球と変化球の区別がついて、ボール球を見極める余裕がある、②どういうピッチングをされようが自分の打撃スタイルを貫くという意思がある、という心理的な準備状態があって、その上で①外角の、②インハイの、それぞれ直球をホームランにする技術(スイング)があるから結果につながった、といえる。ここでPR50くらいのやつの打ち取られ方をもう一度思い返してください。いくら真っ直ぐをホームランできる技術があっても、ボール球や変化球なんかを振っててそれが発揮されなければ意味がない。だからそれを発揮させないような工夫、発揮するための工夫が必要になる。こいつが準備や駆け引きです。相手のやりたいことを対策したり、自分のやりたいことを通せるようにしたりする。

 

 

もうちょっと実際的な例を挙げましょう。同点の9回裏、一死で二塁走者置いて左対左の状況です。初球、二球目と続けたボール気味のスライダーに、まるっきり泳いだスイングで空振りを繰り返したバッターがいたとして、さて何を投げましょう。まあ「ストライクゾーンの真っ直ぐで三球勝負」ってのはまずないはずです。打者もこれで真っ直ぐイチニのサンで振りにいくのはよっぽど真っ直ぐ打ちのバッターか、それをしないとどうしようもない場面でしょう*5

 

 

で、どうなったか。スワローズファンならおわかりでしょうけど、これは25日の阪神戦で一打サヨナラのチャンスで凡退した長岡の打席のことです。結果は一球外してスライダーを左飛。まあこの打席はちょっと真っ直ぐ待ちが見え見えでしたかねえ…

長岡は選ぼうと思ったら選べるしレフトへ打てないこともないんですけど、一軍では基本的に真っ直ぐを強く引っ張る*6バッターです。特に一死で走者が二塁にいて、また真っ直ぐの速い及川なんで、進塁打も含めて真っ直ぐ狙いに行ったところもあると思います。まあこっちの都合だけで野球はやらせてもらえないってことでしょうか。

これに限らず、ヤングスワローズは崩しに来られたり相手主導の場面になるとちょっとまだまだ相手の意図とか文脈を捕まえきれずにやられてるのかな、なんて思います*7。二死とか塁が詰まってたりとかで打ちゃいい時はある程度打つけど、得点圏に走者がいたり、走者なしでも点差競ってる時とか、打たせたくないな…で慎重に入ってくるのにボール球やきつい球振ったり、チャンスだから慎重に…で反対に浅いカウントの失投を見逃したり。

 

結局こういうのをなんとかするには経験というか場数が要るんだろうと思います。コーチの指示はわからないけど、同じ二軍から上がってきた西浦・太田のバッティング内容みたいになんとなく見える部分もありますから*8。もちろん長岡も濱田も並木も内山・古賀も、各選手一軍の舞台に立てるだけのものは持ってるわけですよ。何名かは実際に去年一定の数字残してるわけだし。でもそれを相手もさせたくないから色々やってくる。そこをもう一つ乗り越えるためには、練習(さらなるフィジカル・技術)もいるけど実戦経験(メンタル・余裕・準備)も必要なのだろうな、という。打撃の話ばっかりでしたけど、バッテリーもそういう要素はあるでしょうね。

 

とはいえ濱田がカウント作れるようになってきたり、内山や長岡が派手なホームラン打ったりと成長は続いてるんです。一軍で通用するレベルからその先へと成長してる段階だから、メンツの揃ってる相手にあと一歩ずつ届かねえな、っていうしょっぱい敗戦が起こるのも当たり前っちゃ当たり前です*9。だからこれまで通り気長に待ちますよ、あるいは一軍に呼ばれた中堅組がお手本を見せて、明日にでもすんなり連敗止めるかもしれませんね。というかこのまま続いたらオフにはプロゲーマーになりかねないので頑張ってくれ、スワローズ。

 

 

 

 

以下余談

一応PR50と55の違いがあるように、PR55とそれ以上の違いもあるはずです。たぶんイチローとかやばいときの村上みたいになんでも打っちゃう技術のやつとか。でもパワプロじゃなくてリアルでやってる野球はコンディションやフィジカルと向き合いながら、自分の持ってる技術を発揮しつつ相手と駆け引きしていかなきゃいけない。大変ですよ。

そういう意味ではむーちょのWBCもしかり、昨年まで十全な状態にあった粘り強さ、駆け引き面で後れを取るのも仕方ないかなあと思っていたり。

 

 

 

 

 

*1:パワポケ経験者の悲しい性

*2:これは今でも

*3:球が軽い代わりに速くて合わせにくい直球。普通の直球は重くて合わせやすい。パワプロやってない人のために一応補足。

*4:あの球場なんて略したらいいんですかね。もうだいぶ前にKスタじゃなくなっちゃったし

*5:もっとも、パワプロなら見逃し三振狙いがあるかもしれないけど

*6:ことのできる

*7:内山はそうでもない気がする。一方で村上は広い意味でここに入るのかもしれない

*8:一番打者の太田は初球から甘い真っ直ぐを打ちつつ4打席目はカーブ攻めに対応して猛打賞。西浦は代打で初球からスイングかけつつ、甘い球が来たらセンターへ打つという教科書通りのバッティング

*9:勝負所での手痛い失投やミス、配球関連で攻略されるパターンも含む?

連覇したチームの監督の話

京都銀行くらいの長い目で見よう

 

 

先日TLで12球団の監督の采配をランク付けしたツイートが流れてきたんですね。

 

 まあ3年目になる番長の采配を横浜ファン曰く、とことわって書いてるあたり、恐らくパリーグ専門に見てるんだろうと思う*1。とはいえ一応中嶋・吉井両監督がすげー上位にいて、そこはちょっとわかる。中嶋監督の若手中堅ベテランを使い分ける見事な用兵には、去年おととしの日本シリーズでも煮え湯を飲まされた覚えがあるし、吉井監督は言わずと知れたコーチングの達人で、日本一の投手コーチと聞かれたらたいていの野球ファンからその名が挙がることでしょう。

 

 で、まあなんですけどこの表ちょーーーーーーーーーーーーっとそれ以外の監督を悪く書いててですね。特に最上位に位置づけられている中嶋監督同様、2年連続最下位のチームを連覇&日本一にもっていった実績のあるウチの高津監督をD評価というのは流石に節穴がすぎるやろ ちょっとすっとこどっこいな評価なんじゃないかっていう。修正になっていない。ちなみに理由としては「結果は出ているが時々奇行が目立つ*2。選手を信頼、固定しすぎる」ということらしい。

 

 言いたいことはわからなくもない。日本シリーズで結果的に裏目ったキャプテンやマクガフ、今季でいう村上の4番なんかはチームの軸としてテコでも動かさない部分だし、奇行っていうのはたぶん3番太田とか申告敬遠の満塁策みたいに、成否はともかくとして時々やるすげー派手なギャンブルのことでしょーかね。

 

 しかしそういう派手な事っていつもいつも起こることではないんですよ*3。じーっと見てないとわかんないこともある。  動きが少ないことにしたって、先に挙げたパの2人と比べてちゃんとレギュラーが8人揃うチームなんだから、彼らが実力を発揮できるように整備をすればよいという側面だってある。というか今季は塩見やキャプテンのコンディションの都合で面子が揃わなかったから、そもそもだいぶ動かしてる。そうなると若手が出てくる=スタメンと比べて一枚力の落ちるラインナップが並ぶわけですから、それを踏まえた作戦を立てるのは至極当然といったって良い。質より量で得点圏を作るために盗塁仕掛けまくったり、濱田内山の若手一・二番にランエンドヒット命じたり、あるいは長打が出ない中で一点取ることを考えれば、賛否両論あるけどバントも工夫の内に入るでしょう。

 

 裏を返せばある程度の所まで成長した選手には、その選手に合わせたハードルを与えていくイメージがある。大舞台での活躍や重圧に打ち勝つこともそう、中心選手が長く出続けるというのもそう。結果が出たら結果を出すだけじゃないんだよ、という。実際キャプテンは右打ち取り入れたりしてますからね。役割を与えられて成長するのは若手だけではない。おそらく奎二*4や木澤、大西らリリーフ陣*5あたりの一軍定着組もそうでしょう。

 

 だからね、見ようによっちゃ高津監督って凄く常識的な采配をしてるんですよ。2022年以降の高津監督は優勝もそうだけど、黙ってても勝てる常勝チームの作成をやろうとしています。「勝ちながら」です。これは本人が著書に書いてますもん。そもそもからして、中10日や2番むーちょみたいな優れた用兵・奇策も用いて普通の一軍監督に求められる結果をすでに出しちゃってるんだから。ただ、それをずっと繰り返すんじゃなくて、それをしなくても勝てるようにチームを大きくする。今いるメンバーを鍛え、次優勝する時にはスワローズが奇策を使わなくてもいい、真に強いチームになる為に今できることをする。これ凄く常識的じゃありません?

 

ともすればこれは、かの野村監督の影響をみるところです。あれですよ、プロ野球選手である前に一人の社会人だってやつ。スワローズウェイって折に触れて高津監督言いますけど、あれって野球に対する理解の深さにプラスして、1人の人間に対する深い思慮が込められていると常々思うんですよ*6

 


そりゃあ、ただひと試合ひと試合の結果を求めていくのが興行としてのプロ野球かもしんないけど、そこに将来のよりよい興行のために力を蓄えるチームが遅れをとるのは普通のことじゃないですか。でもそれを、何度も勝ったことのある、極めたことのある人がやっているから凄みがあるんじゃないでしょうか。

 

 もっとも、例の表作ったひと曰く中嶋監督は「結果を出してるし文句なし」、吉井監督は「下馬評の低いチームを上位にもっていっている」から高評価だそうです。うーん、単にセ・リーグ見てないんやろなというしょうもないオチで終わり。

 

 

 

以下余談

最近の試合を観ててちょっとだけ不安になるのが、去年とかおととしにあった「神通力」みたいなものを感じないことなんですよね。落合中日とかにあったとされる「普通のことをやってるだけなのに勝手に向こうがこける」ってやつ。

これは例のひとのことを笑ってられない主観的な考えなんですが、凄く常識的に合理的に考えていったらこれやろな、というのを迷いなく打ってくるタイプに意表を突かれていた相手が落ち着きを取り戻した感があるんですよね。それこそ00年代の老将が復帰したり、そうでなくても優秀なヘッドコーチがついていたりして。

 

一方でそれはスゲーことなのかもしれません。だって

まあ、相手チームも多分同じようなことを考えているのではないかなというところですね。

巨人・原監督「相手チームも多分同じようなことを考えているのでは」 打ち合い制し1237勝目― スポニチ Sponichi Annex 野球

これを1000勝してWBC勝った監督に言わせてるんですよ。高津さんはその監督と同じくらいのレベルにいるって読めるじゃないですか。考えすぎか?

 

ただちょっと今日の采配はそういう域に達したからこそというか、将棋の達人同士の知恵比べの最中に、急に考え過ぎの頓死が出たような、そういうヤな予感がしました。別に今年は去年おととしの分があるし、まだ5月の半ばなんですけどね。

願わくばヤングスワローズが不動のスタメンに育ったとき、監督が裏で寝てても勝てるチームになっててほしいもんです。

こんどこそ終わり

*1:じゃあなんで他のセの監督もよく分からないって書かないんだ

*2:読んでた時ここで吹き出してしまった

*3:仮にいつもそういうことが起こり始めたとしたら、それは17年みたいにチームがひどいことになってるはずだ

*4:中6で回って規定に乗る

*5:田口抜きで1イニングを任される

*6:アルファポリスの連載とかすごく選手を見てるんやなって思います

いちヤクルトファン目線でみるウチの四番の状態の話

こんなもんじゃないけれど、できることはできている

 

韓4-13日

 

 

侍ジャパンWBC二試合目の韓国戦に大勝。準々決勝進出へ向けて大きな一勝を手にしました。ヌートバー、近藤、大谷の1~3番に下位打線のしぶとい打撃、そして日本のお家芸たる投手力は今大会の強みになる予感がありますね。

まあそんな中でもうまくいかないことはあるもので、特に村上が不調で色々言われています。なかには見るに堪えないツイートもありましたし、また書き込みとかもあるでしょうが、そういうのはウチの村上の何を知ってんねんって言いたくなるものが大半で、ちょっとカチンと来ないこともないです。

 

 

特にアレなのは五打席目の満塁で回ってきた、イ・ウィリとのあの打席まで一括りにされてること。結果は三振ですけど、いかにもスクランブル状態で出てきた速球投手が、あんなにボールをひっかけて叩きつけてじゃあまともな勝負はできないですよ。まして大谷へのラストボールは逆球インコースの152キロですから。

「技術のないヤツは内角に投げたらいけません。あれだけ内角(に投げた球)が抜けてくる投手は、ただ思い切って投げていたら、いつか頭に当てるだろ。そうなったらこっちは生死に関わる問題なんだ」

https://number.bunshun.jp/articles/-/416348

落合の有名なこれは技術面で未熟な投手に対するやつで、おそらくイ・ウィリはボールへの適応や調子の問題があったと思いますけど、「ボールをまともに操れない状態」に変わりはないので引用させてください。ともかく投手のボールは一歩間違えば凶器ですから、そういう状態の投手を相手するバッターは、落合ほどかはともかく身の安全にリソースを割かないといけない*1。あえてウチで例を挙げれば出始めの頃の木澤が二年前の福岡、五輪期間のエキシビションで登板した時とかは、リチャードだったか柳町だったかいきなり先頭打者にすっぽ抜けを投げて、それ以降打者の腰が引け気味で無失点に抑えたってのもありました。点差もついていたし、そのあたりの状況を考慮しないのはちょっと的外れだと思います。

 

 

もちろん本音を言えば、この韓国戦で一本打ってほしかったのはあります。不調か好調かと言われたらそりゃ不調と答えざるを得ませんが、中国戦よりは投手がマトモに勝負にくるわけで、村上にとって有利な要素もありました。

 

例えば先発のキムグァンヒョンは真っ直ぐと高速スライダーの使い手ですが、左打者の内角を突くような球あるいはツーシーム系に特徴のあるピッチャーではない。

これでピンと来るのは、村上が昨年大の得意にしていた中日の小笠原*2に近いんじゃないかという部分。横の変化はスライダーとナックルカーブの違いこそありますが、小笠原も速くてコーナーの制球が良くて、チェンジアップで緩急をつける投手。ただ裏を返せば左打者の内角はどうしてもスライダーが消えるから、コースや球種のヤマを張る起点ができる*3。実際に強化試合でも、ナゴドの一戦めで投げてるんですね。それでカーブを捉えてライト前ヒットをしっかり打っている。

 

しかしそうはいってもうまくいかないもので、アマプラ入ってる方はぜひもう一回見て頂きたいんですけど、スライダーを二球見逃した後、外目の構えと逆球の直球が内角いっぱいに決まってストライクになっちゃうんですね。で、四球目はアウトロー良いところの直球に審判の手が上がって見逃し三振。村上は二球目のボール球スライダーに反応してるんで、どうやらそこに意識があったのかなと*4

 

まあ二打席目があるしな、と思ったらその前でキムがKO。スイッチしてきた右の速球派にはファーストスイングをミスショット、三打席目はボール球をふたつ見極めたあと一つファウル挟んで、アウトコースの速球を引っ張って進塁打から吉田が犠飛。この二打席はまあ普通の打席という感じで、四打席目は追い込まれてから犠飛を軽々飛ばして打点挙げたわけですからこれは上出来と言ってもいいでしょう。速球、落ちる球、速球と全部インロー放って勝負に来たとこで点とったわけですから、普通にポイントゲッターの仕事ですよこれ。

 

総じて、早いカウントで韓国バッテリーが投じてくるやや甘めのストライクを見逃していたのが目につくのは確かにそうです。甘いボールを逃さないか、逃しても結局狙い球をひと振りでとらえている印象がやっぱりあるだけに。とはいえそのじっくり狙い球見極めるのが村上元々のバッティングスタイルだとして、待ちが裏目った第一打席とピッチャーがおかしかった第五打席を除けば、あとの3打席は狙い球にスイングかけて結果へ持っていき、進塁打に打点もひとつ挙げているとみると、内容はちゃんとあるんですよね*5

 

要するに村上以外の誰かが打席立ってるわけじゃないんですよ。打球だって上がってるし、あとは巡り合わせやちょっとした部分と言ってもいい。今村上を外せってのはせいぜい一次ラウンドの勝ちっぷりを取りに行って、NPBで一番のバッターを優勝に向けた戦力に数えない、ということになる。あまりプロ野球見ない方のために一応貼っておきますけど、これみてもホントにそんなこと言えます?

youtu.be

 

……仮にひとつの区切りを設けるとしたら、一発勝負の決勝ラウンドか、あるいはアメリカ行ってからがそれにあたるとは思います。一週間でオスナを日本国籍にしない限りは岡本サードにして*6代打で生き返ってもらうのもひとつでしょうけど、やっぱりそれは最終手段であってしょっぱなにやるもんじゃない。

 

最後にメンタル面がどうこうの話ですけど、前提として大谷の後ろを打つ日本の四番が簡単な打順だとはとても言えないと思います。イチローの後ろを打った松中はつなぎ役になって、村田も2次ラウンドでは4試合でわずか2打点ですし、阿部は言わずもがなでしょう。前回大活躍の筒香にしても、こういう記事を見るに相当変えたりした部分があったのかもしれない。

それでも誰かが四番に入らないといけないし、そして難しさや重圧をはねのけられる打者、大谷と勝負しなければと思わせるような打者って言えば、繰り返しになりますけどNPBで一番の打者としての村上なんですよ。村上より早く手を上げたければ57本か三冠獲ってからです。代役があるとしても。

 

正直なんでこっちがなってるんかわからんくらい不安ですけど、でもやっぱり壁や試練を乗り越えて大きなことをやってきたウチの四番なんですよ。そういうの信頼や期待を寄せるだけの男なんです。「これが日本の四番だ!」と心から言える瞬間は必ず来ます。彼はただでは終わりませんよ。だからあとはもう少し、楽しそうに野球をしてほしいんだけどなあ…

 

 

 

*1:あとラストボールは普通にストライクだったと思うけど、大差ついてたし高校野球みたく試合進行上の裁量で取った可能性も一応ある

*2:対戦打率.438、3本塁打

*3:勿論、キムや小笠原は左打者の内角にチェンジアップを投げたりすることで対応しているはず。細かいとこは色々間違ってると思うんで先に謝っておきます🙇

*4:このあと源田とムーチョがスライダーをカットして見極めて出塁、ヌートバーもスライダーをひっぱたいてタイムリーにしているので、狙い球については何かしらの指示があったのかもしれない

*5:中国戦でも押し出し四球で先制点挙げてるわけで

*6:守備に関してはハンドリングはいつも通り上手いけど、公式球もあるし送球の問題は仕方ない。打ってプラスを稼ぎ出す人だし