昆虫食民族の野球

昆虫食民族は飛んできたものをとらえる

いちヤクルトファン目線でみるウチの四番の状態の話

こんなもんじゃないけれど、できることはできている

 

韓4-13日

 

 

侍ジャパンWBC二試合目の韓国戦に大勝。準々決勝進出へ向けて大きな一勝を手にしました。ヌートバー、近藤、大谷の1~3番に下位打線のしぶとい打撃、そして日本のお家芸たる投手力は今大会の強みになる予感がありますね。

まあそんな中でもうまくいかないことはあるもので、特に村上が不調で色々言われています。なかには見るに堪えないツイートもありましたし、また書き込みとかもあるでしょうが、そういうのはウチの村上の何を知ってんねんって言いたくなるものが大半で、ちょっとカチンと来ないこともないです。

 

 

特にアレなのは五打席目の満塁で回ってきた、イ・ウィリとのあの打席まで一括りにされてること。結果は三振ですけど、いかにもスクランブル状態で出てきた速球投手が、あんなにボールをひっかけて叩きつけてじゃあまともな勝負はできないですよ。まして大谷へのラストボールは逆球インコースの152キロですから。

「技術のないヤツは内角に投げたらいけません。あれだけ内角(に投げた球)が抜けてくる投手は、ただ思い切って投げていたら、いつか頭に当てるだろ。そうなったらこっちは生死に関わる問題なんだ」

https://number.bunshun.jp/articles/-/416348

落合の有名なこれは技術面で未熟な投手に対するやつで、おそらくイ・ウィリはボールへの適応や調子の問題があったと思いますけど、「ボールをまともに操れない状態」に変わりはないので引用させてください。ともかく投手のボールは一歩間違えば凶器ですから、そういう状態の投手を相手するバッターは、落合ほどかはともかく身の安全にリソースを割かないといけない*1。あえてウチで例を挙げれば出始めの頃の木澤が二年前の福岡、五輪期間のエキシビションで登板した時とかは、リチャードだったか柳町だったかいきなり先頭打者にすっぽ抜けを投げて、それ以降打者の腰が引け気味で無失点に抑えたってのもありました。点差もついていたし、そのあたりの状況を考慮しないのはちょっと的外れだと思います。

 

 

もちろん本音を言えば、この韓国戦で一本打ってほしかったのはあります。不調か好調かと言われたらそりゃ不調と答えざるを得ませんが、中国戦よりは投手がマトモに勝負にくるわけで、村上にとって有利な要素もありました。

 

例えば先発のキムグァンヒョンは真っ直ぐと高速スライダーの使い手ですが、左打者の内角を突くような球あるいはツーシーム系に特徴のあるピッチャーではない。

これでピンと来るのは、村上が昨年大の得意にしていた中日の小笠原*2に近いんじゃないかという部分。横の変化はスライダーとナックルカーブの違いこそありますが、小笠原も速くてコーナーの制球が良くて、チェンジアップで緩急をつける投手。ただ裏を返せば左打者の内角はどうしてもスライダーが消えるから、コースや球種のヤマを張る起点ができる*3。実際に強化試合でも、ナゴドの一戦めで投げてるんですね。それでカーブを捉えてライト前ヒットをしっかり打っている。

 

しかしそうはいってもうまくいかないもので、アマプラ入ってる方はぜひもう一回見て頂きたいんですけど、スライダーを二球見逃した後、外目の構えと逆球の直球が内角いっぱいに決まってストライクになっちゃうんですね。で、四球目はアウトロー良いところの直球に審判の手が上がって見逃し三振。村上は二球目のボール球スライダーに反応してるんで、どうやらそこに意識があったのかなと*4

 

まあ二打席目があるしな、と思ったらその前でキムがKO。スイッチしてきた右の速球派にはファーストスイングをミスショット、三打席目はボール球をふたつ見極めたあと一つファウル挟んで、アウトコースの速球を引っ張って進塁打から吉田が犠飛。この二打席はまあ普通の打席という感じで、四打席目は追い込まれてから犠飛を軽々飛ばして打点挙げたわけですからこれは上出来と言ってもいいでしょう。速球、落ちる球、速球と全部インロー放って勝負に来たとこで点とったわけですから、普通にポイントゲッターの仕事ですよこれ。

 

総じて、早いカウントで韓国バッテリーが投じてくるやや甘めのストライクを見逃していたのが目につくのは確かにそうです。甘いボールを逃さないか、逃しても結局狙い球をひと振りでとらえている印象がやっぱりあるだけに。とはいえそのじっくり狙い球見極めるのが村上元々のバッティングスタイルだとして、待ちが裏目った第一打席とピッチャーがおかしかった第五打席を除けば、あとの3打席は狙い球にスイングかけて結果へ持っていき、進塁打に打点もひとつ挙げているとみると、内容はちゃんとあるんですよね*5

 

要するに村上以外の誰かが打席立ってるわけじゃないんですよ。打球だって上がってるし、あとは巡り合わせやちょっとした部分と言ってもいい。今村上を外せってのはせいぜい一次ラウンドの勝ちっぷりを取りに行って、NPBで一番のバッターを優勝に向けた戦力に数えない、ということになる。あまりプロ野球見ない方のために一応貼っておきますけど、これみてもホントにそんなこと言えます?

youtu.be

 

……仮にひとつの区切りを設けるとしたら、一発勝負の決勝ラウンドか、あるいはアメリカ行ってからがそれにあたるとは思います。一週間でオスナを日本国籍にしない限りは岡本サードにして*6代打で生き返ってもらうのもひとつでしょうけど、やっぱりそれは最終手段であってしょっぱなにやるもんじゃない。

 

最後にメンタル面がどうこうの話ですけど、前提として大谷の後ろを打つ日本の四番が簡単な打順だとはとても言えないと思います。イチローの後ろを打った松中はつなぎ役になって、村田も2次ラウンドでは4試合でわずか2打点ですし、阿部は言わずもがなでしょう。前回大活躍の筒香にしても、こういう記事を見るに相当変えたりした部分があったのかもしれない。

それでも誰かが四番に入らないといけないし、そして難しさや重圧をはねのけられる打者、大谷と勝負しなければと思わせるような打者って言えば、繰り返しになりますけどNPBで一番の打者としての村上なんですよ。村上より早く手を上げたければ57本か三冠獲ってからです。代役があるとしても。

 

正直なんでこっちがなってるんかわからんくらい不安ですけど、でもやっぱり壁や試練を乗り越えて大きなことをやってきたウチの四番なんですよ。そういうの信頼や期待を寄せるだけの男なんです。「これが日本の四番だ!」と心から言える瞬間は必ず来ます。彼はただでは終わりませんよ。だからあとはもう少し、楽しそうに野球をしてほしいんだけどなあ…

 

 

 

*1:あとラストボールは普通にストライクだったと思うけど、大差ついてたし高校野球みたく試合進行上の裁量で取った可能性も一応ある

*2:対戦打率.438、3本塁打

*3:勿論、キムや小笠原は左打者の内角にチェンジアップを投げたりすることで対応しているはず。細かいとこは色々間違ってると思うんで先に謝っておきます🙇

*4:このあと源田とムーチョがスライダーをカットして見極めて出塁、ヌートバーもスライダーをひっぱたいてタイムリーにしているので、狙い球については何かしらの指示があったのかもしれない

*5:中国戦でも押し出し四球で先制点挙げてるわけで

*6:守備に関してはハンドリングはいつも通り上手いけど、公式球もあるし送球の問題は仕方ない。打ってプラスを稼ぎ出す人だし